低用量ピルとコロナワクチンによる副反応
2022年10月、日本産科婦人科学会は「新型コロナウイルス感染症と低用量ピルや中用量ピルの服用」について、次のように発表しました。
新型コロナウイルスワクチン接種前にエストロゲン製剤を含むホルモン剤や経口避妊薬を中止する必要はありません。
出典:日本産科婦人科学会
このように、新型コロナウイルスのワクチンを接種するために低用量ピルの服用をやめる必要はない、という考え方が示されています。
ただし、あくまで接種の最終判断は、処方医やワクチンを接種する医師が行います。個別に指示があった場合は、その指示に従うようにしましょう。
新型コロナウイルスのワクチンで低用量ピルの血栓症リスクは高まらない
新型コロナウイルスのワクチンを接種するか迷う人は、低用量ピルの重大な副作用である「血栓症」のリスクが高まることを心配しているかもしれません。実際に、欧州では「アストラゼネカ社製」のワクチン接種後に血栓症の発症が報告されました。
しかし、ワクチン接種による血栓症と女性ホルモン剤による血栓症では、発症メカニズムが異なることが分かってきました。
日本で主に接種されているファイザー社やモデルナ社のワクチンでも、接種後に同様の血栓症が起きた事例がごく稀にあります。しかし現時点では、ファイザー社やモデルナ社の「mRNAワクチン」と、このタイプの血栓症の発症との因果関係は明らかとされていません。
また現在のところ、新型コロナウイルスワクチンの接種による血栓が、低用量ピルの使用で増えたというデータはありません。
スマルナでは、モデルナ社製・ファイザー社製のmRNAワクチン、および武田社製の組換えタンパクワクチンについては、副反応として血栓症との関連性は報告されていないため、低用量ピルの内服中に接種しても問題ないとお伝えしています。
接種前の不安はかかりつけ医に相談を
接種前に不安を抱えている場合や基礎疾患をお持ちの方は、かかりつけ医にご相談ください。接種会場でも、事前に医師による問診が行われますので、何か気になることがあれば医師に確認してみてくださいね。
なお、「コロナワクチンを接種できない」のは下記の条件に当てはまる場合です。
- 明らかに発熱している方(通常37.5℃以上)
- 重い急性疾患にかかっている方
- ワクチンの成分に対してアナフィラキシーなど重度の症状が出たことのある方
基礎疾患のある方は、接種しても問題ないかをかかりつけの主治医の先生にもご確認ください。
ピル服用中に気をつけたいのは新型コロナウイルスの感染
低用量ピルの服用中に注意したいのは、新型コロナウイルスに感染した場合です。
新型コロナウイルス感染と低用量ピルや中用量ピルの服用については、日本産科婦人科学会から新たに以下のような考え方が発表されています。
- 無症状、もしくは軽症の場合…継続して低用量ピルを服用できる
- 入院を要するような中等症以上の場合…低用量ピルの服用を中止する
新型コロナウイルスに感染した場合、低用量ピルが服用できるかどうかの最終的な判断は、症状やお身体の状態によって、各医師が判断します。
コロナに感染したら「ピルを服用しています」と医師に伝えよう
症状の重さを問わず、新型コロナウイルスに感染したら、受診した医療機関で低用量ピルを飲んでいることを伝えてください。新型コロナウイルスの治療のために使用する薬剤との飲み合わせの確認も必要となります。
低用量ピルを服用できるかどうかの判断は、必ず医師にしてもらいましょう。
また、ピルの服用を中止する場合は、服用を再開する方法についてもあわせてご相談くださいね。
低用量ピル服用中に新型コロナウイルスワクチンを打っても大丈夫
現在、日本では新型コロナウイルスのワクチンを接種するために低用量ピルの服用をやめる必要はない、という考え方が示されています。
ただし、接種できるかどうかの最終的な判断は、処方医やワクチンを接種する医師が行います。個別に指示があった場合は、医師の指示に従うようにしましょう。
また医師の指示がない場合でも、不安や疑問があるときは、接種の前に相談することが大切です。
新型コロナウイルスに感染した場合は、受診している医療機関に低用量ピルを服用していることを伝えましょう。自己判断でピルの服用を続けたり、やめたりせず、必ず医師の指示に従ってくださいね。
医師監修:八木千賀先生
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