生理の出血量の目安
生理の出血量にも個人差はありますが、1回の生理の総出血量は約20~140mlくらいが正常といわれています。
これより少ないと過少月経、多いと過多月経といわれます。
もし、自分の経血量で心配に思うことがあれば医師に相談してみてくださいね。
過少月経の原因・考えられるトラブルは?
過少月経は、ホルモンバランスの乱れやホルモンの分泌異常などが原因で起こるといわれています。
ストレスなどによりホルモンバランスが乱れて女性ホルモンの1種である卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が少なくなると、子宮内膜が厚くなりにくくなります。すると生理のときに剥がれ落ちる子宮内膜の量が減るので、経血量が少なくなります。
また、過小月経はストレスだけでなく、年齢による影響で起きてしまうことも。
特に思春期(8~18歳くらい)や更年期(45~55歳くらい)はホルモンバランスが不安定なことが多いので、経血量が少なくなることがあります。年齢による過少月経は病気などの問題がないケースが多いですが、もし長引く場合は病院を受診しましょう。
過少月経で疑われる病気
【黄体機能不全】
黄体機能不全とは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が十分に分泌されず、子宮内膜にうまく作用できない状態のことをいいます。黄体機能不全になると受精卵が着床しにくく、不妊症につながることもあります。
【多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)】
体内の男性ホルモンの濃度が上昇することなどによって、卵巣の中にある卵子の元(卵胞)が十分に成長できず、排卵されにくくなる病気です。
不妊の原因になることもあります。
【子宮発育不全症】
子宮が同じ年齢の平均的な大きさに比べて小さい状態のことです。
先天性のものと後天性のものがありますが、後天性の場合は女性ホルモン量の分泌が不足していることが原因となります。ホルモンの分泌は正常に行われていても、子宮発育不全により子宮内膜が厚くなりにくいと過短月経・過少月経につながることがあります。
※病名として使用されているものではないので、明確な診断基準はありません。
過多月経の原因、考えられるトラブルは?
過多月経は、ホルモンバランスの乱れや子宮の病気などが原因で起こるといわれています。
ナプキンをこまめに変えても漏れてしまう、レバーのような経血が出るなど、突然経血量が増えた場合、2~3回の生理で経血量が正常な範囲に戻るのであればストレスによるホルモンバランスの乱れが原因であることが多いです。
この場合はあまり心配する必要はありません。
しかし、長引く場合は子宮の病気が原因となっている可能性も。
病気でない場合でも、長期間多量の出血が起こると貧血になりやすいので注意が必要です。
過多月経で疑われる病気
【無排卵周期症(無排卵月経)】
無排卵周期症とは、生理のような出血はみられるものの、排卵をしていない状態をいいます。
体内のホルモン分泌を行う脳下垂体に何らかの異常がある場合や、ストレスが原因と言われています。不妊症の原因になることも。
【子宮内膜症】
子宮内膜症は子宮の内側にしか存在しないはずの「子宮内膜」が、子宮以外の場所で増えたり剥がれたりを繰り返す病気のことです。特に、卵巣で発生した場合は「チョコレート嚢胞(のうほう)」と呼び、排卵障害を起こすと不妊症につながることもあります。
【子宮腺筋症】
子宮腺筋症は、子宮筋層に子宮内膜組織ができてしまう病気です。
子宮の壁は3層からなっており、内側から子宮内膜、子宮筋層、子宮外膜といいます。子宮腺筋症と子宮内膜症は少し似ていますが、子宮内膜症は子宮以外の場所に子宮内膜ができる病気であるのに対し、子宮腺筋症は子宮の一部である子宮筋層に子宮内膜ができる病気です。
【子宮筋腫】
子宮筋腫とは子宮の壁にできた良性の腫瘍のことです。発生の原因ははっきりとは分かっていません。
子宮筋腫自体は良性ですが、不妊症や流産につながることもあります。
経血量のお悩みには低用量ピルがおすすめ!
経血量が多い場合、少ない場合それぞれに病気が潜んでいる場合があるので、必ず医師の指示に従って治療を受けるようにしてください。
もし、病的な問題がなくても経血量に悩みがある場合は、低用量ピルの服用で症状が改善されることも。
低用量ピルにはホルモンバランスを整えたり、生理の際に経血として出てくる「子宮内膜」が厚くなるのを抑えたりする作用があるので、経血量が安定し、出血期間が短くなるなどの効果が期待できます。
経血量は2時間に1回替える程度で足りるけど、「経血量を減らしたい」「生理期間をもっと快適に過ごしたい」と考えている方にもおすすめです。
まとめ
生理の出血量は多すぎても少なすぎても、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
また、放っておくと将来不妊の原因になることもありますので、悩みがある場合は一度受診をしてみてくださいね。
医師監修:小林克弥先生
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