洗う時に気をつけたいこと
デリケートゾーンのケアにおいて、まず知っておきたいのが腟の「自浄作用」についてです。
腟内は菌の侵入や増殖を防ぐために弱酸性で保たれていて、外部から雑菌(悪い菌)が入ってくるのを防いだり、入ってきてしまった雑菌を退治する働きがあります。このように、自ら腟内を守る働きを、腟の「自浄作用」と言います。
ケアの方法を間違えると、腟の自浄作用が弱まってニオイやかゆみ、炎症などを引き起こしやすくなってしまいます。
このため、デリケートゾーンを洗うときには、腟内の環境を崩さないようにケアしてあげることが大切なのです。
このことを踏まえて、デリケートゾーンの洗い方について紹介していきます。
【腟の中はぬるま湯で流すくらいでOK】
腟の中は、常在菌が守ってくれるので、ソープで中まで洗う必要はありません。
必要な菌まで洗い流してしまわないように、ぬるま湯で軽く流すくらいがいいでしょう。
【弱酸性ソープで洗おう】
身体用の石鹸やボディソープはアルカリ性のものが多いのですが、デリケートゾーンには弱酸性のソープや、デリケートゾーン専用のソープを使うのがおすすめ。
腟内は悪い菌から自分を守るために弱酸性に保たれていますが、これがアルカリ性に近づくと膣の「自浄作用」は弱まってしまいます。その結果、雑菌が増え、ニオイや炎症などのトラブルに繋がることがあるのです。
また、腟はとても皮膚が薄く刺激を受けやすいので、洗浄力の強い身体用のソープは痛みや乾燥の原因となることもあります。
【ゴシゴシ洗いはNG】
デリケートゾーン専用のソープを使う場合は、ソープを泡立てて、指で撫でるように優しく丁寧に洗ってあげましょう。
タオルやボディスポンジなどでゴシゴシすると、摩擦で黒ずみや傷などの原因になってしまいます。
おしっこをした後は...
おしっこをした後は、トイレットペーパーを下からそっと押し当てるようにして水分を拭き取るのがオススメ。
ゴシゴシ拭いてしまうと、腟の粘膜が傷いたり、摩擦で黒ずみになったりなどのトラブルにつながることがあります。
また、おしっこを拭き取る際に「後ろから前」に拭くのはNGです。肛門付近の雑菌が腟内に侵入し、膀胱炎などの炎症を引き起こしてしまうことがあります。必ず「前から後ろ」に拭きましょう。
日ごろから保湿を
下着、おりものシート、ナプキンなど、刺激にさらされることが多いデリケートゾーンは、とても乾燥しやすい場所です。
洗浄力の強い身体用のソープなどを使うと、必要な皮脂まで洗い流してしまい、余計に乾燥が進んでしまいます。
乾燥した肌は摩擦で黒ずみが起こりやすくなるだけでなく、かゆみやニオイがきつくなったり、シワやたるみが目立ったりする原因にもなります。
お風呂上がりなどは、専用のクリームやオイル等を使ってしっかり保湿してあげることが大切です。
日ごろから保湿を心がけることで、摩擦でできた黒ずみのケアだけでなく、ニオイやかゆみを防ぐこともできます。
自分にあった下着を選ぼう
黒ずみ、ニオイ、ムレなどのトラブルを回避するためには、特にサイズ・素材を意識して下着を選ぶことが重要です。
【サイズ】
締め付けの強い下着は、摩擦による黒ずみや、ムレを引き起こす大きな原因になります。
小さめよりも、ゆったりとしたサイズがおすすめです。
【素材】
また、ポリエステルなどを使った化学繊維の下着は通気性が悪く、ムレやかぶれを引き起こしやすいです。
コットンやシルクなど、天然素材のものを選ぶのが良いでしょう。
アンダーヘアのお手入れ
アンダーヘアのお手入れは、デリケートゾーンの通気性を良くし、ムレや雑菌の繁殖を防ぐのに効果的です。
アンダーヘアにおりものや尿、経血などが付着すると、ニオイやかぶれを引き起こしやすくなります。
全て剃ってしまうのに抵抗がある方は、アンダーヘアの長さを短く整えることから始めてみてもいいかもしれません。特に、ムレやにおいを防ぐにはIラインやOラインのケアが大切。無理のない範囲でお手入れをして、デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。
お手入れをするときの注意点
【お手入れアイテム】
アンダーヘアのお手入れでよく使われるのは、カミソリと電気シェーバーです。
カミソリは安く購入できますが、肌への負担が大きく、カミソリ負けなどで黒ずみを引き起こしたり、乾燥しやすくなったりというデメリットがあります。
電気シェーバーは刃が直接肌に当たらないため、肌への負担が少なくアンダーヘアのお手入れに適しています。
※なお、除毛クリームや脱毛ワックスなどは肌への刺激が強いので、デリケートゾーン専用のものを選びましょう。敏感肌の人は、保湿成分が入っているものや、天然素材が使われているものがおススメです。
【タイミング】
生理中は肌のバリア機能が低下し、普段よりも乾燥や肌荒れを起こしやすくなります。生理中はお手入れを控えましょう。
外出先でのケア
外出先でデリケートゾーンをケアしたい方には、専用のウェットシートやスプレーなどを携帯しておくのがおすすめ。
おりものや経血などによるニオイ、汚れ、不快感を手軽にケアできます。
香りつきや、保湿成分が入ったものなど色々な種類があるので、自分にあった製品を見つけてみましょう!
まとめ
デリケートゾーンは、外部からの刺激を受けやすい繊細な部分。
ムレ、ニオイ、かぶれ、黒ずみなどのトラブルを防ぐためには、日ごろからの意識が大切です。
洗い方だけではなく、日々の保湿や下着選びなどにも気をつけることで、デリケートゾーンの悩みが軽減されるかもしれません。
今日から正しいケアを実践してみましょう!
監修医師:小林克弥先生
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